仙骨が押される走りは関節のコンビネーション
西東京市のトップカイロプラクティックです。今回は「仙骨が前に押される走り方」についてお話ししたいと思います。当院には熱心にランニングに励んでおられる患者さんが多くいらっしゃいます。学生アスリートから市民ランナーと様々ですが、皆さんが最近関心が高いのが「仙骨」ですね。以前にもランニングフォームについてのお話しは致しておりますが、今回は仙骨に焦点を当ててお話ししたいと思います。
仙骨とは?

では簡単に仙骨や骨盤の関節を見て行きましょう。仙骨とは骨盤の中央に位置する骨になります。骨格的な役割としては骨盤内部で上行性下行性に力の分配の中心的な役割を果たしています。また神経的な役割も大きく、脊髄硬膜の強い付着部となり脳との相反作用によって神経的なバランスを保つ役割を果たしています。
仙骨と関節するのは第5腰椎と腸骨と尾骨です。第5腰椎との関節は腰仙関節と呼ばれ、腸骨との関節は仙腸関節と呼ばれます。これらの関節の動きは微細ながら、身体の機能的には大きな影響力を及ぼします。

仙腸関節は大きく分けて仙腸関節上部(黄色)と下部(ピンク)に分けられます。仙腸関節は体重支持関節ですが、この上部と下部のどちらを優勢として上行性下行性に力を分配するかが骨盤全体の機能に大きく影響します。仙腸関節はどちらかと言うと受動的な関節であり、上行性には寛骨臼(青)に対する大腿骨頭(赤)の角度、つまり股関節が関与し、下行性には腰仙関節(緑)の角度が主に関与します。

「仙骨が前に押される走り方」に関心があると言う事は、走るための優位性があると感じているからだと思います。仙骨が前に押されるという事は水色で示した仙骨が前に押される事を示します。しかし先程申し上げましたように仙腸関節には上部と下部があり、そのどちらを優勢に使うかによって、仙骨のどの部分が前に押されるかは異なります。従って2種類の仙骨の前方への動きを簡単に見て行きましょう。

仙腸関節の上部が優勢に使われる事によって、仙骨の上部が前方に押し出される力が伝わります(オレンジ)。対して仙腸関節の下部が優勢に使われる事によって、仙骨下部が前方に押し出される力が加わります(青)。前者は腰仙関節において、仙骨に対して第5腰椎に前方に力を加えて脊柱全体を曲線的に連動させます。後者は腰仙関節において、仙骨に対して第5腰椎に上方への力を加えて脊柱全体を直線的に連動させます。

仙骨が前に押される事が走るための優位性であると仮定すると、仙腸関節上部と下部を優勢に使った場合には上の図の様な違いが発生すると考えられます。左側は仙腸関節上部を優勢に使った場合ですが、仙骨上部が前に押され腰仙関節において第5腰椎に前方の力が働きます。右側は仙腸関節下部を優勢に使った場合ですが、仙骨下部が前に押され腰仙関節において第5腰椎に上方への力が働くと考えられます。
個人的には仙骨上部が前に押される方が走るための優位性は大きいと考えております。当院では患者さんには仙骨上部が前に押されるようにお話しさせて頂いております。ただし骨格的な適正など個人差の大きな問題でもありますので、ご自身のお考えなどを踏まえた上で選択されるべきであると考えております。
主動はどこか?
さて今まで仙骨が前に押される2種類のパターンについてお話ししてきましたが、この先は仙骨上部が前に押されるパターンのお話しをして参りたいと思います。そうなると走る際の主動となる骨格部位はどこになるかを考えてみたいと思います。個人的には主動となるのは股関節であると考えております。上行性にも下行性にも力の伝達の中心となるのは股関節であり、受動的な仙腸関節を上行性にコントロールするのは股関節であると考えております。

では主動が股関節であると仮定した場合、仙骨上部が前に押される動きを主動する動きは何になるのかを考えてみたいと思います。走る動作において股関節の主要な動きは屈曲と伸展であると考えられます。屈曲と伸展だけを考えれば仙骨上部が前に押される動きは伸展が作っているようにも見えます。
しかし仙腸関節下部が優勢に使われて、仙骨下部が前に押されている状態では、股関節の伸展によって仙骨上部が前に押される力は働きにくいと考えられます。従って股関節伸展が仙骨上部を前に押す力の主動ではないと考えられます。ここで重要になってくるのは股関節内旋です。

左の図は股関節内旋による力の伝達経路を示しています。片足で接地したとすると、股関節内旋は寛骨臼後方から仙腸関節上部に力を伝達させ、右仙骨上部を前下方へ押し出します。股関節外旋は寛骨臼前方から仙腸関節下部に力を伝達させ、左仙骨下部を前上方に押し出します。実際には仙腸関節内では更に細かい動きもあります。

関節の動きのコンビネーションとして「屈曲外旋外転」と「伸展内旋内転」は高い親和性があります。股関節においても股関節が屈曲から伸展に移行する接地時に、股関節内旋を伴って伸展することによって仙腸関節上部に伝達されて、仙骨上部を前方に押し出します。上の図では接地した脚は内転も伴っているので「伸展内旋内転」となります。このように「仙骨が前に押される走り方」は意識やイメージといった抽象的な表現ではなく、股関節の動きのコンビネーションという具体的な現象から発生すると考えられます。
どうすれば身につくか?
当院ではこの股関節のコンビネーションによる仙骨の動きの発生を、姿勢の確立→歩く→走るの3段階でお伝えしております。姿勢の確立、つまり股関節内旋によって仙骨上部が前方(前下方)に押される姿勢を確立することによって、無意識レベルで力の伝達経路を成立させる事を基礎としています。姿勢ができてから歩く、そして走るというステップを踏んでいます。そうすることで再現性の高い動作を習得できると考えております。詳しい内容につきましては以下の記事をご覧ください。
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仙骨が前に押される走り方についてのまとめ
今回は仙骨が前に押される走り方についてお話しして参りました。今回のお話しは誰かに習った内容ではなく長年に渡る個人的な見解です。ランニングには様々な理論があります。今回のように「仙骨が前に押される走り方」というテーマに付きましても様々なご意見や理論があると思います。だからこそランニングは議論と発展の余地がある分野であると考えております。今回のお話しは皆さん自身が検証して頂いて、合理的であると判断された場合には参考にして頂けると幸いです。
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