市民ランナーとランニング障害 その2

ランニング障害の回避はランニングシューズの履き分けが効果的

こんにちはトップカイロプラクティック院長の玉村です。今回も前回に引き続き市民ランナーとランニング障害について考えて行きたいと思います。今回はランニング障害を回避するためのランニングシューズの使い分けについてお話ししてみたいと思います。市民ランナーの皆さんはランニングシューズをどのように使い分けているでしょうか?毎日のトレーニング用とレース用という使い分け方が一般的であると思います。これはレースという目的のためには必須と言えるでしょう。私も以前に10キロレースに力を入れていた頃にはナイキのズームストリークという薄底レーシングシューズとルナグライドというクッショニングシューズを使い分けていました。

しかしランニング障害を回避すると言う目的ではレーシングとクッショニングという分け方では「やや不足」という印象を持っています。しかも私が10キロレースに力を入れていた時代よりもランニングシューズは進化しています。出来れば特色の異なるシューズを3足くらいでローテーションしていくのがランニング障害を回避する上では重要であると考えています。その理由は脳への刺激の変化にあります。

足首から下は全身の骨の約1/4で構成されています。これは人間が2足歩行において安定性、衝撃吸収、推進力を発揮するための細かい構造の為になります。当然筋肉も数多く存在していますが、これだけ多くの骨、つまり関節と筋肉が配置されているという事は脳に情報を伝達する「センサー」も数多くあるという事になります。

毎日同じシューズで同じロードを同じペースでランニングをすると、身体にとって運動になってはいますが脳への刺激の変化は起こりにくい状態とも言えます。従って身体の変化に対応する下降性の情報(身体を動かす情報)は一定の範囲でしか伝達されなくなります。要するにバランスの変化にバランスで対応出来ない状態で運動をしているという事ですね。

足底の情報の変化は即座に脳からの情報に対応します。私は以前実験したのですが、急性腰痛になって歩くのが困難な時に舗装された道路でしたら何とか歩く事が出来ます。しかし公園の不整地に足を踏み入れた瞬間に痛みで歩くのが困難になりました。これは不整地の凹凸を足底がセンサーとして感知して脳に情報を送った結果、適切なバランスを取るように脳が身体に命令しても「急性腰痛」という障害がバランスに対応できずに激痛が発生すると言う現象です。つまり足底からの情報は極めて速く脳に変化を伝えてると考えられます。

従って身体が様々なバランスに対応して「刺激」に対して柔軟に「対応」するためには様々な変化が必要になる訳です。その変化を生み出す為に有効な最も手軽な方法として、ランニングシューズの「履き分け」によって刺激の変化を脳に伝える事ですね。ロード、クロカン、トレイルなどコースを変えるのも有効ですがお住まいの環境によっては難しいかも知れません。

ランニングシューズの「履き分け」の注意点はランニングシューズによって走り方を大幅に変化させない事です。ベースとなる走り方があってランニングシューズによって「アジャスト」していく事が重要になります。簡単に言えば「微調整」ですね。最初は意図的の微調整しますが、ランニングシューズを履き分ける度に無意識で微調整できれば、刺激の変化に対応できているという指標になるでしょう。

「履き分け」にオススメのランニングシューズの1足目はオーソドックスなトレーニングシューズです。ある程度の重量がありクッションのしっかりしたモデルで走行をガイドしてくれるランニングシューズですね。これがベーシックとなって履き分けで刺激の変化が発生するのが理想的ではないでしょうか。

私が使っているシューズですとニューバランスの1080(テンエイティー)ですね。クセがないクッションで爪先の跳ね上げが強くガイドの強いモデルですのでとても履きやすく、股関節のポジションと足底の着地をコントロールすると故障とは無縁のランニングシューズでありますね。ホカオネオネのクリフトンも同じようなタイプの素晴らしいシューズですが、私の個人的な意見ではクッションがとても柔らかいために、1080よりも若干取り扱いが難しい印象があります。しかし上手に乗りこなせば故障を防ぐと共にパフォーマンスを発揮できるランニングシューズであります。

2足目は薄底のランニングシューズですね。重量やクッションやガイドが抑えられているので、自分で衝撃吸収や推進力を生み出す必要があります。そして何より「接地感」のダイレクトさがありますので身体を連動させてコントロールしないと故障に繋がるリスクがあります。しかしそれを「アジャスト」する事で故障を回避するアドバンテージを生み出す事が出来ます。

私は現在ニューバランスのHANZO-Sとアシックスのソーティマジックを使用しています。一昔前はランナーがレースで履いていたタイプですね。私は現在この「薄底レーシング」はトレーニング用として使っています。前足部のグリップが強くスピードが出しやすいのが特徴ですね。このタイプは接地感覚を養い身体を連動させてコントロールするのには最適ですので、故障しにくい身体のバランスを作るのにはオススメのモデルですね。

3足目は厚底ソールにカーボンプレートを搭載したモデルです。上級者向けのレース用ではありますが私のような「貧脚」でも使用する価値は十分あります。このタイプはランナーがシューズの特性に合わせる必要があります。厚底カーボンはシューズの設計と特性に「乗りに行く」事が重要です。シューズに乗る事で結果的に最適なランニングフォームになる訳ですので、アジャストする感覚を身に着けるにはマストであると思います。このアジャストが故障を防ぐ最大の武器になります。

私はブルックスのハイペリオンエリート2を使用しています。厚底カーボンの中ではバウンドの安定感があり比較的扱いやすい印象ですが、「乗る」事がやや難しいために「アジャスト」をしっかりする必要がありますね。ホカオネオネのカーボンXはバウンドはありませんが「乗りやすさ」はありますね。今朝は10キロのランニングの最後の1キロは足が回らずに、体感的にはキロ4:15程の体感でしたが実際にはキロ4:01で走れていたので、薄底と比較するとシューズの助力を十分に受ける事が出来ます。ランニング初心者の方でも厚底カーボンは導入する価値があると思います。

以上がオススメの3タイプですがプラスαでもう1足となると「ベアフットランニングシューズ」ですね。このタイプは故障をするかしないか二拓しかないとも言えます。使いこなせず故障をするか使いこなして故障をしない身体を作るかという事ですね。究極は裸足でしょうけども、ベアフットランニングシューズでも十分に効果があります。

私の使用しているベアフットランニングシューズはメレルのベイパーグローブ4ですね。地面の凹凸や小石も拾う感覚ですので適切な接地場所でないと痛くて走れません。結果として衝撃吸収と推進力を生み出す中速部から前足部で接地する事になりますので、走り方を「アジャスト」して故障をしにくい身体作りが出来ます。ベアフットランニングシューズを履いた翌日は厚底カーボンを履くという変化が身体のコンディションを引き上げるのに効果的であると言えるでしょう。