市民ランナーとランニング障害

ランニング障害を発生させないポイントとは?

こんにちはトップカイロプラクティック院長の玉村です。今回は市民ランナーの皆さんの「敵」である、市民ランナー特有の障害について考えてみたいと思います。昨今のランニングブームで当院の患者様でも精力的なランナーが数多くいらっしゃいます。しかし故障を抱えずに日々のランニングをこなしている方は約半数、もしかすると半数以上が故障を抱えてるといっても過言では無いような印象です。

市民ランナーが故障する根本的な原因は何かと考えてみると興味深い結果が見えてきます。例えばクッション性が全くないベアフットシューズ(裸足感覚)のランニングシューズをメインで使用している患者様と、マキマキシマムクッション(とても高いクッション性)のランニングシューズをメインで使用している患者様がいます。どちらが故障のリスクが高そうなイメージかと問われれば前者でありそうな気がします。しかし当院の統計ではマキシマムクッションのランニングシューズを使用している患者様の方が故障しているケースが多いのが現状です。

一つ申し上げておきますと「ベアフットが良くてマキシマムクッションが悪い」という話では全くなくて(私もマキシマムクッションを愛用しています)、衝撃吸収のためにクッション性が高いのに故障する割合が多いというのは単純に考えて「道理に合わない」感じがします。この事実が根本的な原因を解く鍵になると考えています。

足首には回内(プロネーション)と回外(スピネーション)という動きがあります。過剰に回内する事をオーバープロネーション、過剰に回外する事をオーバースピネーションと言って市民ランナーのランニング障害の大きな原因であると言われています。ではオーバープロネーションやオーバースピネーションを何かしらの方法で「固定」するとどうなるか?中には効果のある方もいらっしゃいますが多くの場合「失敗」する傾向があります。元々の障害が悪化したり別の障害の発生ということになります。つまり「慢性」の入り口に入って行く事になります。

健康のため生涯スポーツとしてのランニングを行うのに「サポートウエアにテーピングガチガチ」という出で立ちはどこか本末転倒なような気がします。記録を狙う市民ランナーにしても同様です。そして次の予防策は故障をしないように「筋トレ」をするというコースになる傾向がみられます。故障をお持ちの患者様が「筋トレやってるんですけどね~」とおっしゃるのは常套句とも言えるでしょう。「筋トレ」自体は全く悪くはありませんが、故障をしない、故障から回復する手段としてのプライオリティーとしては「筋トレ」ではないような気がしますね。

オーバープロネーションやオーバースピネーションは結果であると言う事が重要です。何の結果であるかと言うと身体の連動の結果です。つまりスタート地点は他にある訳です。スタート地点については別記事に記載してありますが、ランニングは身体の連動によって推進力や衝撃吸収を生み出すスポーツであるので、「連動の再構築を行う」事がプライオリティーとしては最上位に挙げられます。

冒頭で申し上げたベアフットシューズで故障しない患者様は身体の連動が適切に出来ていると言えます。マキシマムクッションで故障してしまう患者様は身体が適切に連動せずに「高性能クッションに乗れていない」とも言えます。

ランニングにおいて人間の身体は適切に連動させれば故障は防げる構造になっています。それだけ高性能です。私は学生時代に運動部に所属していましたが「変な走り方で遅い」と言われ続けてきました。「変な走り方で遅い」のにハードなトレーニングをしたので負担が大きく故障の連続でした。「変な走り方で遅い」事に対するロジカルなアドバイスは一切ありませんでしたので結末はお察し頂けるでしょう。

現在は毎日平均10キロほどのランニングをしていますが市民ランナー特有の障害に陥る事はありません。(学生時代のツケで昨年は急性腰痛になりました)市民ランナーの皆さんも「身体の連動」に着目してみてはいかがでしょうか?故障がなくスピードも上がり結果としてランニングエコノミーが向上するランニングライフが送れると思います。