股関節の使い方の基礎 インターナルテクニック基礎編 4

股関節の動きと骨盤前傾

こんにちはトップカイロプラクティック院長の玉村です。今回はインターナルテクニック基礎編の第4回目になります。前回は股関節と第5腰椎の関係性についてお話ししましたが、今回は第1回から第3回までの内容を総合するとどの様な力の連動になるのか、そしてそこから見えてくる動きは何であるのかをお伝えしていきます。

このシリーズのインターナルテクニック基礎編では股関節内旋の時の力の連動について説明して参ります。つまり寛骨臼内部の後方のエリアに大腿骨頭の先端がポジションを取った場合という事になりますね。では順番に見て行きましょう。

上の画像は左寛骨臼を横から見た画像になります。画像左側が身体の正面になりますので、寛骨臼の右側が後ろ側のエリアでしたね。

後ろのエリアに大腿骨頭の先端がポジションを取るには、大腿骨はピンクの矢印のように「内旋」という動きをしなければなりませんでした。前のエリアにポジションをとるには青い矢印のように「外旋」という動きをする訳です。

大腿骨頭の先端が寛骨臼の後ろのエリアにポジションを取ると、寛骨臼の後ろのエリアから仙腸関節の上部にピンクの矢印の力が伝達されます。この力は仙骨上部(仙骨ベース)に黒い矢印のように前下方への力のベクトルを加え、第5腰椎に前方への力を加えます。これが前回までにお伝えした内容でしたね。

このように第5腰椎に前方への力のベクトルが加わる事で、生理的湾曲が最も機能的な状態を作り出せる訳ですね。ではこの総合的な動きを別の視点からも見て行きましょう。

骨盤前傾の回転軸と股関節

では上記の一連の動きを股関節を回転軸として考えてみましょう。股関節が回転軸という事は「股関節を回転軸として何かが回転する」という事になります。では何が回転するのかを見て行きましょう。

赤い円で示した寛骨臼の後ろ側のエリアに大腿骨頭の先端がポジションを取ると、寛骨臼から発生したピンクの矢印の力は仙腸関節上部に伝達されます。その結果として仙骨上部(仙骨ベース)は黒い矢印のように前下方への力が加わります。

そして仙骨ベースの前下方への力は、緑の矢印のように第5腰椎に前方への力のベクトルを加えます。仙骨と第5腰椎は前方に向けた力を得る事になります。つまりここから解る事は「寛骨臼の後のエリアを回転軸とした場合に、骨盤の構成要素は前方に向けて動く」という事になります。

大きな視点で見てみると、赤い円の寛骨臼の後ろのエリアを回転軸として骨盤全体としては黄色い矢印のように前方への回転運動をするという事になります。

全てを重ねてみると上の画像の様になります。ピンクの矢印は仙腸関節上部への内方への力の伝達を現わすために便宜上後方を向いてる様に見えますが、寛骨を立体的に捉えると前方に向けた力のベクトルとなります。それは仙骨上部に前下方への力のベクトルが加わる事で解りますね。

この動きは「寛骨臼の後ろのエリアを回転軸として、寛骨と仙骨が一つのユニットとして前方に回転して傾斜する動き」と言えます。つまり「股関節を回転軸とした骨盤の前傾」という動きになる訳ですね。前傾は二段階で構成されています。第一段階は大腿骨に対して寛骨の前傾、第二段階は寛骨に対して仙骨の前傾となります。仙骨に対して第5腰椎は「前傾」という言葉を使っても良いかも知れませんが、「前方に押し出される」と言った方が適切であると考えています。

そもそも前傾という定義

ランニングをされる方でしたら耳にされた事があると思いますが、「骨盤の前傾」という言葉がありますね。骨盤の前傾と言う事は「何かに対して骨盤が前傾している」という事になりますね。今回お話しした事から考えますと「大腿骨頭が寛骨臼の後ろ側のエリアで回旋軸となり寛骨と仙骨が前方への回旋を伴って傾斜している」と言えます。

しかし確かに寛骨臼の前後のエリアに対して大腿骨頭の先端が回転軸となれば前傾と後傾が発生しますが、前回の第3回目でもお話ししましたが、成長による生理的湾曲の発生から考えれば、骨盤が前傾して第5腰椎に前方への力のベクトルが加わって生理的湾曲が発生している状態は、むしろニュートラルな状態であると考えられますね

現在多くの人は寛骨臼の前側のエリアを使い骨盤の後傾の状態になっています。幼少期に形成されたはずの生理的湾曲を機能させられない状態ですね。この状態をニュートラルである前傾状態に転換させていく技術がインターナルテクニックになる訳ですね。後傾から前傾と180度転換させるので少しづつ転換させないと負担がかかる理由がここにありますね。

機能的な生理的湾曲では腰椎の前湾が形成されますので見た目的には腰部が反ったように見える傾向があります。一見同じように腰部を反ったように見える場合でも、上の画像のように骨盤が後傾して黒い矢印のように腰部が反る場合があります

もうお解り頂けると思いますが生理的湾曲が機能せずに見た目が似ているだけですね。見た目は似ていても機能的には全く異なります。機能的な前傾の場合には荷重は爪先方向に掛かり、後傾の場合には荷重は踵に掛かります。

股関節の動きと骨盤前傾のまとめ

いかがでしたでしょうか股関節の動きと骨盤前傾。4回に渡って股関節の使い方についてお話ししてきましたが、股関節を機能的に使うための基礎的なところがお解り頂けたのではないでしょうか。今回のシリーズでは股関節の内旋と外旋に絞り、特に股関節内旋の機能的役割に焦点をあててみましたが、基礎的なお話しですので「立つ」事に関する段階までのお話しになりました。

歩く走るとなると骨盤の前傾は機能的に異なるシステムになってきます。基本的な考え方は立つ状態での骨盤の前傾、つまり静止した状態での骨盤の前傾の延長上となりますので、機械があればお伝えしていきたいと思います。次回以降ではインターナルテクニックの基礎編の実技についてお話ししていきたいと思います。

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