股関節と骨盤内部の力の伝達方向
こんにちはトップカイロプラクティック院長の玉村と申します。今回は「股関節の使い方の基礎 インターナルテクニック基礎編2」という事で、前回に引き続き股関節の基礎的な使い方についてお話していきたいと思います。
前回は骨盤の構造についてお話ししまして、寛骨臼には前後2つのエリアがあるとお伝え致しました。今回はその寛骨臼の2つのエリアからの、骨盤内部での力の伝達方法についてお話ししたいと思います。
先ずは復習ですが寛骨臼には2つのエリアがありましたね。前のエリアと後ろのエリアでした。立位などの重力負荷が掛かった状態では、寛骨臼には地面からの力が大腿骨頭を通じて伝えられます。この時に寛骨臼内部で大腿骨頭がどの方向を向くかによって、骨盤内部での力の伝達方向が異なってきます。当然ながら重力負荷の状態では上半身の自重(自分の重さ)も骨盤内部に伝達されますが、今回は基礎編ですので地面からの力を中心に考えて行きたいと思います。
これが大腿骨頭でしたね。青い矢印が大腿骨頭の先端になります。寛骨臼内部の前後のエリアでで大腿骨頭の先端がその方向を向くという事はどのような事であるのかを考えてみましょう。
上の画像は左大腿骨を正面から見たものになります。球状の大腿骨頭は赤い矢印の太腿に相当する部分とは、黒い矢印の大腿骨頸部によって連結している形となります。従って寛骨臼の前後のエリアに大腿骨頭が向きを変える場合、赤い矢印の部分は「回旋」という動きをします。簡単に申し上げますと大腿部が回るという事ですね。
寛骨臼の前後のエリアの前のエリアに大腿骨頭の先端が位置するには、青い矢印の方向に大腿骨頭の先端が向く事になります。後ろのエリアに位置するにはピンクの矢印の方向に向く事となります。
この動きを大腿骨で考えてみますと、寛骨臼の前のエリアに大腿骨頭の先端が位置するには、大腿骨は青い矢印のように外側に回旋する動き(外旋)をする必要があります。寛骨臼の後ろのエリアに大腿骨頭の先端が位置するには、ピンクの矢印のように内側に回旋する動き(内旋)をする必要があります。
つまり寛骨臼の前のエリアに大腿骨頭の先端が位置するには大腿骨は外旋を行い、後ろのエリアに位置するには内旋を行うという事になります。そして地面からの力は寛骨臼内の前後のエリアに入力されて骨盤の力の伝達の出発点となります。この寛骨臼に対する大腿骨の外旋と内旋が股関節の動きの基礎となります。
股関節と仙腸関節での力の伝達
さて大腿骨の外旋と内旋によって寛骨臼の前後のエリアへの入力された力は、仙腸関節と第5腰椎に順次伝達されます。それでは仙腸関節について見ていきましょう。
上の画像は骨盤を後ろから見たものですが、仙骨と寛骨(腸骨)の関節にピンクと青のラインが引いてあります。このエリアが仙腸関節と言います。仙腸関節は体重を支える重要な関節であり細かく説明致しますと話が全く進まなくなりますので詳細については割愛致します。
今回のお話しで重要な事は仙腸関節は「上部と下部の2つのエリアに分かれている」と言う事です。画像のピンクのラインが上部で青いラインが下部になります。寛骨臼と同様に2つのエリアに分かれています。勘の良い方はお解りであると思いますが、この2つのエリアが力の伝達経路になります。
では仙腸関節について立体的に見て行きましょう。上の画像は骨盤を左斜め後方から見たものになります。ピンクのラインは仙腸関節上部、青いラインは仙腸関節下部になります。これは模式図ですので表面にラインを引いていますが、当然関節面は内部の寛骨の関節面と仙骨の関節面で構成されます。
ここで重要な事は寛骨臼の前のエリアから伝達される青い矢印の力は、仙腸関節下部に伝達されると言う事ですね。同様に寛骨臼の後ろのエリアから伝達される力は仙腸関節上部に伝達されると言うことです。つまり寛骨臼の前のエリアに大腿骨頭の先端が位置すると(股関節の外旋)力は仙腸関節の下部に伝達され、後ろのエリアに位置すると(股関節の内旋)力は仙腸関節の上部に伝達されるメカニズムになっている訳ですね。
これで股関節(寛骨臼と大腿骨頭)と仙腸関節の力の伝達経路がお解り頂けたと思います。簡素化してお伝えしましたが股関節の動きを考える中では基礎中の基礎ですので覚えておいていただけると幸いです。覚えるのに難しいメカニズムは必要ありませんので、股関節外旋=仙腸関節下部、股関節内旋=仙腸関節上部だけで十分であると思います。次回は第5腰椎への力の伝達についてお話しいたします。
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