身体のレベルの高い妊婦さんを目指しませんか?
こんにちはトップカイロプラクティック院長の玉村です。今回は妊娠・出産とカイロプラクティックの2回目という事で、妊婦さんへの施術についてお話ししたいと思います。前回の「産後の骨盤矯正について」というお話しで「適応が大きく耐性が低い妊婦さん」という事をお伝えしました。
「適応が大きく耐性が低い妊婦さん」は産後の骨盤矯正の必要性が高くなり、赤ちゃんへのバーストラウマ(出生時外傷)の影響も大きくなるという内容でしたが、具体的にどのような状態が「適応が大きく耐性が低い」状態であるのかを説明していきたいと思います。
妊娠するとホルモンの影響で出産に向けて骨盤が緩みやすくなる事は知られています。しかし緩みやすくなるから骨盤に不具合が起きる一番の原因になるとは限りません。妊娠中や出産後に腰痛や恥骨痛などを発症する多くの方には共通点がある事が統計的に解ります。
上の画像は骨盤の前面の画像になります。中央にある恥骨という部分への力の伝達経路を示した模式図になります。妊娠前に恥骨への力の伝達経路に不一致があると、そこにはストレイン(緊張)が生じて何らかの症状を発症する要素となります。身体の外観的には歪みとして認識できる状態といえます。つまりそこには適応の大きさがあると考える事ができ、適応の大きさとともに耐性の少なさも存在します。
もうお解りであると思いますが、元々ストレインが存在する骨盤の方が妊娠によりホルモンの影響によって骨盤の緩みが発生したらどうなるでしょう?骨盤は力の伝達により安定する構造になっていますので、緩む事によってストレインがより強くなる事が容易に想像できると思います。これが妊娠中や産後に身体の不具合が生じる大きな要素となります。
同じように骨盤が緩むとしても、力の伝達経路が一致した状態でストレインの少ない状態であれば、骨盤の安定性喪失は最小限で済むことになります。ストレインが少ないと言う事は適応が小さく耐性が大きい事と同義と言えます。つまり症候的な状態に陥る可能性が低く、身体の回復能力も備わっている状態と言えます。妊娠期間中をこの状態で過ごせれば、出産後も安定した身体の状態を維持できる期待値がそこにはあります。
ではここから少し難しくなります。上の画像のような場合には力の伝達の不一致がある恥骨を矯正すれば良いかというと、必ずしもそうではありません。当院の施術理論であるR+C=dddから考えますと、多くの場合には恥骨での力の伝達の不一致はR(抵抗)として現れます。矯正はC(収縮)に行うのが鉄則です。恥骨を矯正するのは収縮と抵抗の2次サイクルで恥骨がC(収縮)となった場合ですね。そもそも収縮と抵抗の1次サイクルで骨盤がC(収縮)でなければ骨盤への矯正は行わない事になります。では恥骨がR(抵抗)である場合にはどのようなC(収縮)が考えられるでしょうか?
骨盤が1次サイクルでC(収縮)がであった場合に、2次サイクルで恥骨がR(抵抗)となる場合には仙腸関節という体重を支える関節が影響している可能性が考えられます。仙腸関節がC(収縮)である場合にはR(抵抗)である恥骨に付着している靭帯を利用した検査で陽性反応が発生します。この反応が出れば教科書通りですが、反応しない場合には2次サイクル内の別の要素を調べて行く事になります。この先はセミナーレベルのお話しになってしまうので割愛致します。
簡単に申しますと骨盤内部でのC(収縮)を矯正してR(抵抗)の存在を無くして行くと言う事です。もっと簡単に申しますと骨盤のバランスを取るという単純な話になります。バランスが取れていればホルモンの影響で骨盤が緩んでも安定性は失われにくいと言う事ですね。
難産タイプの方によく見られるケースもご紹介しておきます。上の画像は骨盤を前から見たものですが、左右の恥骨の中心部分である恥骨結合という部分に、緑の矢印で示した内方への力が物理的に加わるケースですね。この場合も恥骨はR(抵抗)となる事が多く、C(収縮)は大きな力を発生させるある関節(仮にA関節とします)が主導となる事が多く見られます。
若しくはA関節と力の伝達経路を形成するB関節という部分にC(収縮)が移行しているかも知れません。こうなると適応は更に大きくなり耐性は少なくなります。母体がこの状態であるとバーストラウマの発生確率は上昇してしまう傾向が見られます。
妊婦さんに特化した施術
当院では妊婦さんの施術には2通りの方法を行っております。1つは通常通りの施術でR+C=dddという理論、適応と耐性という理論、当院のオリジナル理論であるインターナルテクニックの考え方をベースとして行っております。
インターナルテクニックは患者様自身が習得する事で、身体の状態を構造的にも機能的にも最も合理的な状態に転換するテクニックですので、妊婦さんの自宅でのエクササイズとしても有効活用できます。インターナルテクニックを用いる際には、妊婦さんの身体の状態によって転換による負荷を最小限に抑えるレベル分けを行います。
2つ目は英国のスティーブ・ウィリアムス先生のセミナーをベースとした妊婦さんに特化した施術になります。これは妊婦さん特有の負荷が掛かる箇所を特定して施術を行います。横隔膜、食道裂孔、腎臓を中心とした内臓、大腰筋や骨盤底筋群のバランシングテクニック、恥骨がC(収縮)となった場合の細かい矯正方法が含まれております。
産後の骨盤矯正
さて産後の骨盤矯正ですが、一般的に言われている産後の骨盤矯正に特化したものは行いません。当院では通常の施術と同様の事を行います。骨盤だけを施術するという事も行いません。と申しますのも今まで産後の腰痛などでお困りの患者さんを多く診てきましたが、初診でC(収縮)が骨盤というケースは少ないと考えているからですね。
上の画像のように骨盤以外の部分がC(収縮)であり骨盤がR(抵抗)であるケースが多いですね。R(抵抗)は炎症があり痛みを伴う場所であると考えられますが、施術はC(収縮)に行われないとR(抵抗)は解消されないメカニズムとなっているからです。
前回の記事でも申し上げましたが、産後に骨盤矯正の必要性を感じる方は「適応が大きく耐性が低い」のが特徴です。簡単に申し上げますと「身体の状態が悪い」という事になります。この場合の「身体の状態が悪い」というのは発症が出産が引き金になったとしても、今までの蓄積の結果であり「適応」が大きくなっているケースが多いですね。「適応が少なく耐性が高い」状態であれば産後の骨盤矯正の必要性はあまりありません。
妊婦さんの施術のまとめ
いかがでしたでしょうか?今回は妊婦さんへの施術についてお話ししましたが、出産に向けて身体の状態を出来る限りストレインが起こりにくい状態にしておく事が重要であるとご理解頂けたと思います。その状態であれば妊娠期間を順調に過ごし出産もスムーズに行える期待値の高さが得られます。
前回もお話ししましたが、これは赤ちゃんの健康状態へのバーストラウマの影響も最小限に抑える効果も期待できる訳ですね。妊娠中の方やお子様をお望みの方は、身体のケアを十分にされる事をオススメ致します。
トップカイロプラクティック
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