あなたは回復しやすいタイプ?適応と耐性という理論

  • 2020年7月18日
  • 2020年8月8日
  • 施術理論
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適応と耐性が作り出すあなたが知らない世界がそこにある!

こんにちはトップカイロプラクティック院長の玉村です。今回も私玉村の個人的な見解についてお話ししていきたいと思います。今回のテーマは「適応」と「耐性」という理論ですね。適応と耐性という関係性は症状からの回復期間は元より、患者様の健康状態を把握する上でとても重要なものになります。では適応と耐性について見て行きましょう!

上の画像は英国のジョナサン・ホワット先生の著書「仙骨後頭骨テクニックの解剖学と生理学」の30ページに記載されている図を簡素化して掲載しております。青い文字で「適応」「健康」「耐性」と記されていますが、この3つの関係性について解説していきます。水色、紫、赤の矢印は時間軸であると考えて頂けると解りやすいと思います。

「適応」とは身体に掛かる様々な負荷に対して順応する性質の事を言います。身体の歪みを例にしますと、重力負荷、疲労、外傷、環境的な負荷が掛かると、それに順応するために補正を繰り返して、身体の歪みの性質が悪化しながら進行していきます。つまり適応が大きくなれば健康状態は悪くなります。

耐性とは文字通り身体が様々な負荷に対して耐える事ができる能力になりますね。身体に掛かる負荷が少なければ高い耐性を維持できますが、負荷の増大により耐性は減少していく事になります。つまり「適応」と「健康」と「耐性」の関係性は、「適応」が増大すれば「耐性」が減少し「健康」の状態としては悪化していくという関係性にあります。

症状という観点で上の図を見た場合、赤で示したラインがポイントになります。負荷により「適応」が増大し「耐性」が減少していくと「健康」の状態としては悪化していきますので何かしらの症状が発生する段階へと近づいていきます。そして症状が発症するレベルまで「適応」が増大し「耐性」が減少すると症候的な状態、つまり赤いラインを超えてしまうと症状が発生してしまうという事になります。一般的に我々のような職業のところに訪れる場合には、皆さんは赤いラインを超える「適応」の大きさと「耐性」の減少を伴っているという事になる訳です。

病気を発症するのも同様のメカニズムですね。例えば癌細胞は身体の中で1日に数千個作られると言われています。しかし耐性が高い状態では免疫力も高いために癌細胞の増殖を抑制して発症しない事になります。ですが身体に掛かる負荷が大きく耐性が減少してしまう状態では無症候ながらも癌細胞は増殖して行き、ついに赤いラインを突破してしまうと症状として認識できるレベルに達する訳ですね。発症したからと言って今日から病気で昨日まで健康という訳ではないのですね。

症状が回復するとは?

では症状が回復すると言うのはどの様な事なのかを見て行きましょう。症状からの回復が速い人もいれば中々回復しない人もいますね。その違いを「適応」「健康」「耐性」の図を見ながら解説して参ります。

皆さんが何らかの症状を発症してカイロプラクティックオフィスを訪れたとします。例えば急に腰痛になってしまい動くのも大変であると仮定します。しかし身体の状態は上の図では緑の星印で示したレベルでありました。確かに辛い症状ではありますが赤いラインを少し超えた程度ですので、「適応」が増大して「耐性」が減少した状態ですが無症候的な領域に近いレベルでもあります。

症状からの回復であれば黒い矢印で示したように無症候な領域に戻れるように、赤いラインを上回るだけ「適応」を少なくする施術を行えば良い訳ですね。回復期間の速さは痛みの強弱よりも「適応」と「耐性」がどのレベルにあるかが鍵であると考えております。

例えば皆さんの身体の状態が赤いラインの遥か下の緑の星印にあった場合、無症候の領域である赤いラインを超えて症状が回復するには長い黒い矢印で示したように、先程の例よりも回復に長い期間が掛かる事がご理解頂けると思います。長期間に渡る慢性的な症状で徐々に「適応」が増大して「耐性」が減少している方は回復が遅くなる傾向がありますね。急性の症状であっても元々「適応」が大きく「耐性」が少ない方は強い痛みに悩まされる期間が長くなる傾向があります。

図では症候的な領域の底辺から無症候的な領域に一気に戻って行くように見えますが、このレベルの身体の状態ではV字回復を望むのは難しいですね。逆に症状がある程度回復してもA字で底辺まで落ちやすい傾向があります。底辺を確実に切り上げながら無症候の領域に戻る事が現実的です。

「適応」の大きさと「耐性」の少なさの判断基準は、当院の施術理論であるR+C=dddという理論に従って判断します。RはRESISTANCE(抵抗)でCはCONTRACTION(収縮)でしたね。特に身体の中にどの様なR(抵抗)が現れているかによって「適応」の大きさと「耐性」の少なさが判断できる訳ですね。

症状がなくても施術する理由

当院では特定の症状がなくても定期的に施術を受ける患者様が多くいらっしゃいます。「カイロプラクティックなんて症状がある時に行くもんだろう!」とお考えの方が多いと思いますが、当院では患者様が「今日は調子いいです!」と言って施術を始める事が多々あります。ではその理由について解説して参りたいと思います。

私が講師を務めさせて頂いているセミナーで、これから活躍されるであろう若手の先生方に以下のような質問をする事があります。「初診の患者さんが何も自覚症状がなく体調も良好ですが施術を希望しています。先生方でしたらどうされますか?」という質問ですね。

この質問に対する最も多い回答が「どこか悪そうな所を探して施術する」というものですね。現場では当然ながら正解であると思います。しかし着目すべきはどのような目線で患者さんを分析しているかどうかですね。「どこか悪そうな場所を探して施術する」という発想は「症状」という目線で患者さんを分析している発想ですね。誤解のないように付け加えますが、それが悪いとか間違っているという話ではありません。単に目線の問題です。

しかし患者さんを「身体のメカニズム」を中心に分析している場合には、症状が全くなく体調が良い患者さんには施術すべきところが明確に解ります。つまりR(抵抗)を探して「適応」の大きさと「耐性」の少なさを判断し、メカニズム的に身体の状態が向上するC(収縮)に施術を行う必要性がある訳ですね。つまり身体の質を向上させる施術を行う訳です。

症状がない時は身体の質を上げる絶好のチャンスといっても過言ではありません。なぜなら不調がないので身体が良い方向へ転換するのに障害がないからですね。不調の時は様々な障害がありますので症状を回復させるのだけになってしまいますね。

上の図で解説していきましょう。症状がないという事は緑の星印の様に赤いラインの上に身体の状態があり、無症候的な領域にいるという事になります。一般的には「カイロプラクティックは症状がある時に行くところ」という認識ですから症状のない人はほとんど行かないと思います。しかし当院の患者様の多くはこの状態でも施術にくる価値を見出している訳ですね。

上の図で示したように症状のない時でも施術を行う理由は、「適応」を減少させて「耐性」を増大させて「最小適応」で「最大耐性」であり「高いレベルでの無症候」の状態を維持するためですね。赤いラインの近くの緑の星印が、「適応」を減少させて「耐性」が増大して黒い矢印の上の状態まで上昇することで「高いレベルでの良好な健康状態」が維持できます。

赤いラインのすぐ上の緑の星印の状態ですと、少しでも「適応」が大きくなって「耐性」が減少すると「症候的な状態」になります。対して黒い矢印の上の緑の星印の状態ですと、「症候的な状態」になる赤いラインまでの猶予が十分にあります。負荷が多少かかっても定期的に施術すれば「症候的な状態」には中々なりません。

「適応」が少なく「耐性」が高いと言っても、急激な負荷や疲労によって「症候的な状態」に陥る事があります。しかし予め「適応」の少なさと「耐性」の高さを持ち合わせていますので、回復の速さが圧倒的に違います。症状がV字回復できるのはレベルの高い健康状態を維持している患者さんの特徴です。

レベルの高い健康状態を維持するメリット

これは人生において可能な限り長い時間を、身体の不調に悩まされる事なく送れるという事に尽きると思います。つまり身体の不調で好きな事をする時間を失うデメリットを減らすという事ですね。これは健康寿命を延ばすと言っても良いかも知れません。

女性の場合ですと平均寿命は88才くらいですが、健康寿命は74才くらいです。平均寿命と健康寿命の乖離の一番の原因は運動器の問題です。つまり74才の半数はその後の14年間もの長い間を自立して生活するのが困難である事を示しています。

これは高齢者の方だけの問題ではありませんね。どのような年代でも身体の不具合のために様々な機会損失を被る可能性があります。私玉村も恥ずかしながら20代の頃はひどい坐骨神経痛に悩まされ全く動けなくなりました。色々と諦めなければならないと覚悟しましたが、お蔭さまで中年となりました現在は20代の頃よりも体調面は良好でありまして、運動や学習もまだまだできる状態ですね。

「適応」と「耐性」のまとめ

今回は「適応」と「耐性」についてお話ししましたが、皆様がお持ちのカイロプラクティックのイメージが変わり、健康についての考え方について何か響く所があれば幸いであります。一つ心に留めて頂きたいのが「適応」を少なくして「耐性」を増加して「レベルの高い健康状態」を維持している人達がいる世界があると言う事ですね。

「レベルの高い健康状態」を維持するための施術にも少し触れておきましょう。通常はまず優先順位が高くなる事が多い自律神経の状態に対するR(抵抗)がどの様な段階であるかを調べてそれに対するC(収縮)を矯正します。以下四肢、骨盤脊柱、頭蓋骨の中で優先順位の高いR(抵抗)を探してC(収縮)を矯正するだけです。特別複雑な事であったり医学的な用語を使って患者さんに説明する事はありません。メカニズムと理論に従って行うのでむしろ単純です。

トップページでもお伝えしておりますが、当院では全ての患者様に定期的に施術にくるように強制する事は致しません。当院の考え方に共感して定期的に来院して頂ければ幸いですし、調子が悪い時だけ来院して頂いても全く構いません。皆様が便利なように好きなように当院を使って頂ければ良いと考えております。ではまた次回!

トップカイロプラクティック

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