なぜ身体は歪むのか?歪みのメカニズムの謎に迫る!

  • 2020年7月18日
  • 2020年8月7日
  • 施術理論
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身体の歪みって何処から起こるの?

こんにちはトップカイロプラクティック院長の玉村です。皆さんはご自身の身体が歪んでいる事を意識した事がありますか?当ブログをご覧頂いている方でしたらカイロプラクティックの施術に興味をお持ちであると思いますので、ご自身の身体の歪みを少なからず認識されているのではないでしょうか?

そこで今回は私玉村の個人的な見解ですが、なぜ身体が歪むのかについてお伝えしたいと思います。一般的には2足歩行による重力負荷ですとか、生活環境などが原因であると言われています。確かにそれらの要素は身体を歪ませる一因ではあると思います。しかしながら患者様の身体を細かく見ていくと歪みの発生メカニズムには興味深い原因を見る事ができます。

君はすでに歪んでいる!新生児でも歪みがあるよ!

ふざけたタイトルで申し訳ありませんが、人間の一生を考えた時に一番歪みが少ないのは新生児ではないでしょうか?歪みの原因が2足歩行による重力負荷や生活環境であれば、新生児は歪みが少ないと考えるのが妥当です。しかしながらさすがの新生児と言えども歪みがあるのが現実ですね。

私の長男の生後1週間後くらいの画像です。顔の左側を撮影したものですが後頭部から目尻までの幅を緑の矢印で示してみました。顔全体としては新生児らしくふっくらした印象でありますね。

対して顔の右側の画像です。後頭部から目尻までの幅が左側と比較して短くなっているのがお解り頂けると思います。左側のふっくらした印象に対して細長い印象が持てると思います。その原因はピンクの矢印でしめした側頭骨という骨ですね。右側の方が凹んだ感じになっていて耳も顔に張り付いた感じに見えます。

長男の頭蓋骨がどの様な状態であるのかを解説しますと、ピンクのラインで示したように右半分は前方、黄色のラインで示したように左半分は後方に相反して歪んでいる事が解ります。これはA-Pストレインと言って前後への緊張を伴う頭蓋骨の歪みがある事を示しています。

更に長男の場合には緑の矢印で示したように前頭部では右方向に、青の矢印で示したように後頭部では左方向への歪みが確認できます。これはラテラルストレインと言って長男の頭蓋骨には横方向への緊張も加わっている事が解ります。

長男のような頭蓋骨の歪みがあると外観上は赤い矢印で示したように左右で耳の穴の位置が違います。実際に長男の頭部をメジャーで計測したところ頭囲は母子手帳に記載されている31.5センチとほぼ同じ31.6センチでした。解剖学的な基準点として眉間から耳管までの距離には約1センチの差がありました。

これで見た目的にも数値的にも長男の頭蓋骨は歪んでいることが解ります。長男の頭蓋骨のタイプは英国のジョナサン・ホワット先生やスティーブ・ウィリアムス先生のセミナーではCCW(反時計回り)スムースカップリングという分類になっております。統計的には一番多いタイプになりますね。

このCCWスムースカップリングでは基本的に優位脳が左脳で利き目が右目となるのがセオリーですが、長男は利き目が左目です。つまりCCWスムースカップリングの中でもイレギュラーなタイプになりますね。人間の身体には100%がないところが興味深いところですね。

実は産まれる前から歪んでる?なぜ歪むのか?

さて新生児から身体の歪みがあることが解りましたが問題はなぜ歪むのかですよね?私玉村の見解としては産まれる前から歪んでいると考えております。つまり遺伝的要素により歪みの方向性が決定されるのではないかと推測されます。それは両親や先祖代々の家系の性質を受け継ぐという事ですね。

親子で顔が似る事はよくあります。骨の形状や筋肉の付き方で似る訳ですが、優位脳などの神経的左右差なども遺伝によって受け継がれる要素ですね。エピジェネティクスという遺伝の形態にも注目が集まっている現在、歪みのスタート地点として遺伝による歪みを考えるのが妥当であると考えております。

私には弟がおります。4歳差ですが顔がとても似ております。しかしながら私と弟では頭蓋骨の歪み方が正反対ですね。私は上の画像のように長男と同じ歪み方でCCWスムースカップリングで利き目が右目の一番多いタイプですね。

弟は上の画像のようなタイプです。左半分が前方で右半分が後方のタイプですね。このタイプはCW(時計回り)スムースカップリングと分類されて、セオリー通りでは優位脳が右脳で利き目が左目になります。弟はセオリー通り利き目が左目であり、利き手も本来は左手(幼少期に矯正された)、利き足も左足と完全に左利きタイプでありますね。なぜ兄弟で似た顔つきにも関わらず正反対の頭蓋骨の歪み方になったのかを考えますと、母方の家系が左利きの多い家系という事が影響していると推測されます。

来院されているご家族全員が弟と同じタイプのCWスムースカップリングというケースも見られます。Sさんご家族はご夫婦と息子さん、娘さんが来院していますが、全員CWスムースカップリングで利き目が左です。CCWスムースカップリングが統計上一番多いパターンですので、ご家族全員がCWスムースカップリングになる確率を考えると偶然とは言い難いですね。遺伝による同方向への歪みと考えるのが妥当です。

CWスムースカップリングはセオリーでは利き目が左目になります。実は自覚する利き手が右手であっても利き目が左目である人が、右利き全体の中で15%程存在します。私は隠れ左と呼んでいますが、親族の方を調査するとCWスムースカップリングがいらっしゃる確率はとても高いですね。

患者様に撮影させて頂いたCWスムースカップリングの頭蓋骨です。うつ伏せの画像ですが左半分が右半分よりも前方に位置しているのがお解り頂けると思います。この患者様は自覚する利き手は左手で利き目も左目です。お孫様も利き手が左手であるそうなので頭蓋骨はCWスムースカップリングである可能性は極めて高いと思われます。

お母さんのお腹の中でも歪むよ!

上の画像のは頭蓋骨の天井部分を取り除いて上方向から見ている画像です。大まかに言いますと頭蓋骨の天井部分は膜という柔らかい組織から出来ていますが、頭蓋骨の底の部分は軟骨から出来ています。A-Pストレインやラテラルストレインの場合に、天井部分の歪みが強い場合と軟骨部分の歪みが強い場合では性質が異なります。

長男は軟骨部分の歪みが強いタイプですので歪みの強度が強いタイプになります。それは赤い矢印で示した耳管の位置の前後差に反映されています。膜部分の歪みと軟骨部分の歪みの違いは何が原因なのか?様々な原因が考えられますが胎児期に母体内でどのような環境で過ごしてきたかに影響されると考えられます。

新生児の場合、身体全体に対して頭部の比率が大きいのが特徴です。胎児期に母体内で膜や軟骨である頭部が圧迫される事が膜部と軟骨部の歪みを促進させる可能性があると考えられます。つまり遺伝によって形成された先天的な歪みの方向を促進するという事ですね。

母体内で頭蓋骨が歪む可能性を示唆する事例があります。親族の方を8人に来院して頂いているTさんご一家がいらっしゃいます。娘さんが双子の赤ちゃんを出産されて生後4か月後に来院されました。理由は双子で頭の形が違うという事でした。

Tさんご一家は現状は全員CCWスムースカップリングで利き目が右目という一番多いパターンですね。娘さんの御主人もCCWスムースカップリングで利き目が右目ですので、歪みは遺伝で発生するという事を考えると双子ちゃんはCCWスムースカップリングの歪みを持って産まれてくる可能性が高い事になります。しかしながら双子のOちゃんはCCWスムースカップリングでしたがYちゃんはCWスムースカップリングという全く真逆の頭蓋骨の歪みを持っていました。

考えられる可能性は3つあります。1つは親族で私が診ていない方にCWスムースカップリングがいらっしゃる。2つ目は母体内でのYちゃんの胎位などの影響で頭蓋骨の軟骨部分を圧迫されて本来CCWスムースカップリングであったものが完全にCWスムースカップリングに転換された。3つめは母体内で頭蓋骨の膜部分が圧迫されて一時的にCWスムースカップリングの形状に見えた。という所でしょう。

結果としてはYちゃんは現在8才ですがCCWスムースカップリングになっています。利き目も右目です。胎児期に母体内で頭蓋骨が圧迫されて変形したものの土台である軟骨部の歪みが少なかったために成長と共に本来のCCWスムースカップリングに戻って行ったと考えられます。

検証例が少ないので統計的には何とも言えないのですが、新生児の頭蓋骨が出生時と反対の歪みに転換される事があります。私の次男も産まれた時は4~5日CWスムースカップリングのように見えましたが1週間後にはCCWスムースカップリングになっていました。

恐らく母体内で本来の歪みの方向と反対側の歪みの圧迫が加わると、時間の経過によって本来の歪みの方向へ戻る力が働くのではないかと考えられます。長男の場合には本来の歪みの方向と同じ方向への圧迫を受けたために軟骨部分も変形して強い歪みのCCWスムースカップリングなったと考えられます。これは面白い研究であると思いますが、新生児を診れる機会が少ないので統計をとるのは難しいと思いますね。

産まれる時も歪むよ!バーストラウマとは?

さてさてお母さんのお腹の中でも身体が歪む可能性についてお話ししましたが、新生児に発生する身体の歪みは出生時に掛かる負荷によるところが大きいと考えられています。この出生時に新生児に掛かる負荷の事をバーストラウマ(出生時外傷)と言います。ではバーストラウマとはどの様なものであるかを見て行きましょう。

上の画像は骨盤を右斜め前方から見たものになります。お母さんのお腹の中で胎児は多くの場合、頭を下に向けて左側の骨盤の方に後頭部を向けています。所謂頭位というポジションですね。頭を上に向けていれば逆子ですし、横に向けていれば横位となります。頭位が合理的である理由は、狭い母体の中で胎児の頭の前後径とお母さんの骨盤の横径を一致させることが、スペースを有効に使えるからであると考えられます。頭蓋骨が歪むリスクも少ないと考えられますね。

出生時には第一回旋として頭部がうなずく動き、第二回旋としてお母さんのお尻側に顔を向ける動きが発生するのが一般的であると言われています。これは頸部の神経を保護して産道の前後径に頭の前後径を合わせるためですね。

そして回転しながら産道を通過して誕生となる訳ですが、新生児にとっては相当な圧力が加わります。この圧力によって発生する身体の歪みをバーストラウマと言い、新生児が最初に被るダメージであると考えられています。

上記の様な一般的な第一回旋と第二回旋によって誕生した場合、上の画像のように頭部が左回旋した歪みが発生します。英国のスティーブ・ウィリアムス先生の講義では遺伝的要素とバーストラウマにより身体の歪みの方向性が決定されて、その方向に向けて身体の歪みは進行して行くと考えられています。

バーストラウマには様々なパターンがあり、分娩が困難であるほど新生児のバーストラウマは強くなると言う統計があります。このバーストラウマは後頭部と頸部の歪みに影響を与える所が大きいですね。新生児の身体の歪みは母体の状態が大きく関与していると言えますね。

なぜ身体は歪むのか?歪みのメカニズムの謎に迫る!のまとめ

身体の歪みの発生については様々な説がありますが、私は遺伝とバーストラウマによって歪みの方向性が決定されると考えています。まずは頭蓋骨や頸部で歪みが発生して骨盤などが連動して歪んで行くと考えるのが合理的であると思います。

この歪みの方向性は様々な検査をすることで解るシステムになっています。患者様の歪みの方向性を把握することで、歪みの方向性に沿っているものは何処なのか、歪みの方向性に逆らっているものは何処なのかの判断をする事ができます。

歪みの方向性を分析すると様々な発見があります。私玉村は最も多い歪みのタイプでどの角度から見ても凡人タイプですね。しかし突出した才能をお持ちの方は突出した歪みのタイプであることも珍しくありません。皆様もご自分の歪みのタイプを知ってみると新たな才能を見つける事ができるかも知れません。ではまた次回!

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